クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
鉄格子の下から完食した器の載ったトレーを差し出され、ソフィアはそれを回収する。昔は白魚のような手だったが、今は皺も増えまるで老婆のようだ。そんなベアトリクスの手を見て、ふと時の長さを感じた。
「あなた、今日はなんだか元気がないわね。どうかしたのかしら?」
「え……? いえ、そのようなことは……」
目敏く指摘されてソフィアはドキリとした。
そのようなことはない。と言いたかったが実のところ、ソフィアは朝から機嫌が悪かった。
侍女から、ジークが今朝早くにアンナと一緒に製薬室から戻ってくる姿を見かけた。と聞き、一気にソフィアの嫉妬に火がついた。昨晩は嵐のような豪雨で、おそらくひと晩中ふたりで製薬室にこもっていたのだろう。明け方までとなると……。
昔からカッとなると考え無しに行動に出てしまうのがソフィアの悪いクセだった。よからぬ想像に煽られてたまらずジークの公務室へ乗り込み、いったいどういうつもりなのか問いただしたところ、『勘違いするな、勝手な思い込みだ。それからアンナに余計なことを言うな』ときつく言われてしまったのだ。
「あなた、今日はなんだか元気がないわね。どうかしたのかしら?」
「え……? いえ、そのようなことは……」
目敏く指摘されてソフィアはドキリとした。
そのようなことはない。と言いたかったが実のところ、ソフィアは朝から機嫌が悪かった。
侍女から、ジークが今朝早くにアンナと一緒に製薬室から戻ってくる姿を見かけた。と聞き、一気にソフィアの嫉妬に火がついた。昨晩は嵐のような豪雨で、おそらくひと晩中ふたりで製薬室にこもっていたのだろう。明け方までとなると……。
昔からカッとなると考え無しに行動に出てしまうのがソフィアの悪いクセだった。よからぬ想像に煽られてたまらずジークの公務室へ乗り込み、いったいどういうつもりなのか問いただしたところ、『勘違いするな、勝手な思い込みだ。それからアンナに余計なことを言うな』ときつく言われてしまったのだ。