クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
心臓めがけてひと突きされた父の胸には短剣が刺さっていて、優しくいつも微笑んでくれた父は見たこともない苦悶の表情で息絶えていた。床には血の海が広がっていて――。
「アンナ!」
「あ……」
怪我をした男が殺された父の姿と重なり、ジークに腕を掴まれてハッと我に返った。思い出したくないおぞましい映像から逃れようと、何度も頭を振る。それでも全身が小刻みに震えて言葉も出なかった。血の気が引いて顔色も真っ青になっているのがわかる。
「しっかりするんだ」
「ジーク様……」
へばりつきそうな喉を鳴らし、かすれた声で名前を呼ぶ。目の前にいるのはジークだ。それに怪我をした男も殺された父ではない。アンナはいまだに震えが止まらない身体を掻き抱いた。
「この状況はお前には酷だ。見せたくない。だから城へ戻っていろ」
血まみれの男を目の当たりにして、錯乱状態になっているアンナをジークが気遣う。男の姿が見えないように目の前に立っているが、苦しそうに呻く声が聴覚を刺激する。
「アンナ!」
「あ……」
怪我をした男が殺された父の姿と重なり、ジークに腕を掴まれてハッと我に返った。思い出したくないおぞましい映像から逃れようと、何度も頭を振る。それでも全身が小刻みに震えて言葉も出なかった。血の気が引いて顔色も真っ青になっているのがわかる。
「しっかりするんだ」
「ジーク様……」
へばりつきそうな喉を鳴らし、かすれた声で名前を呼ぶ。目の前にいるのはジークだ。それに怪我をした男も殺された父ではない。アンナはいまだに震えが止まらない身体を掻き抱いた。
「この状況はお前には酷だ。見せたくない。だから城へ戻っていろ」
血まみれの男を目の当たりにして、錯乱状態になっているアンナをジークが気遣う。男の姿が見えないように目の前に立っているが、苦しそうに呻く声が聴覚を刺激する。