クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「ここがあんたの部屋だよ」と、マーヤに案内される。

そこはひとり部屋で窓の外から大きな楠木がどんと生えているのが見える。トルシアンの自分の部屋とさほど変わらない広さだったが、古い木のベッドに小さなクローゼットと机しかない。しかし、日中は働いて夜は寝に戻ってくるだけならこれで十分だ。それに塵もないし、板張りの床は多少の傷みはあるが綺麗に清掃されている。

「寄宿舎の住人はみんないい人ばかりだよ。足、もし痛むようなら明日の仕事は休むかい?」

「いえ。大丈夫です。明日にはよくなると思います。こう見えても私身体は頑丈なんですよ」

捻挫しておいてあまり説得力もないが、そう言って笑うアンナにマーヤもにこりと顔を和らげた。
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