クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「痙攣もないし、顔色も悪くない。おそらく口にした量は経過観察しても大丈夫な程度だと思われます。重篤な場合、三十分程度でよだれが多くなったり、嘔吐、腹痛などの症状が見られますから」

それを聞いて母親はほっと胸を撫で下ろした。

「誤嚥性肺炎を引き起こす恐れもありますから、無理に水を飲ませるのは返って危険です。まずは煙草をお子さんの目の届くところに置かないこと、いいですね? ご主人様にもそのようにお伝えください」

軽く窘めるように言うと、母親は涙ぐんで何度も頷いた。そして彼女が子どもを抱えて椅子から立ったそのとき。

「目、青い目、きれい」

女の子がシュピーネを指して無邪気に笑った――。
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