クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
アンナがランドルシア城の調理場で働きだして一週間が経った。

「お前さんの薬膳料理、なかなか評判がいいみたいだぞ。身体が温まるってさ」

「本当ですか、よかった!」

すっかり捻挫した足もよくなり、朝食の後片付けをしているとウィルが満面の笑顔でアンナの肩をぽんぽんと叩いた。

先日、夜勤明けの門番が「日中は暖かいけど、夜は冷えるんだよなぁ」とこぼしているのを聞いて、ヨモギと生姜を使ったスープを作った。ヨモギと生姜には血行を促進させる効能があるため、冷え取りにはもってこいの食材なのだ。

調理場でのアンナの役目はスープ作りだった。薬膳の知識を活かすようにとウィルにこのセクションを任され、腕によりを掛けたスープを日替わりで作っていた。

(よし! 綺麗に片付いたわね)

ふぅと息を吐き、アンナは窓の外を見た。
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