クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
堀に掛けられた正門の橋を何台もの馬車が渡っていくのを見て、アンナは瞬きも忘れてその様子に目を奪われた。貴族たちは講義を受けに来るのに皆正装していて、金銀宝石を衣服につけ、丈長の優雅なサーコートを身にまとい、まるで舞踏会に参列するかのような装いで驚いた。
それに意外だったのは、学士のほとんどが男性で女性の姿があまり見受けられなかったことだ。ウィルの話では、医師や薬師になる前に女性はその職に就いている男性と結婚してしまうのが通例だという。今頃、講堂では講義が行われているのだろう。自分も講堂で勉強している姿を想像するが、思い浮かべるだけ虚しさが募る。
「アンナ、そんな顔すんなって。ああ、そうだ、今日は薬草の講義だって言ってたっけな」
「えっ、本当ですか?」
薬草と聞いてアンナは前のめりで食いついた。アンナにとってもっとも興味深い分野で好奇心が抑えきれなくなる。
「クスの木だ、覚えてるか?」
とウィルが片目を瞑ってニッと笑う。
前にサルベール講堂の横に大きなクスの木があって、そこに登れば吹き抜けの窓からちょうど教壇の位置が窺える、とのことだったが……。
「お前さん、木登り得意だって言ってたよな? みんな集中してるから誰も気づきやしないさ、だから――」
それに意外だったのは、学士のほとんどが男性で女性の姿があまり見受けられなかったことだ。ウィルの話では、医師や薬師になる前に女性はその職に就いている男性と結婚してしまうのが通例だという。今頃、講堂では講義が行われているのだろう。自分も講堂で勉強している姿を想像するが、思い浮かべるだけ虚しさが募る。
「アンナ、そんな顔すんなって。ああ、そうだ、今日は薬草の講義だって言ってたっけな」
「えっ、本当ですか?」
薬草と聞いてアンナは前のめりで食いついた。アンナにとってもっとも興味深い分野で好奇心が抑えきれなくなる。
「クスの木だ、覚えてるか?」
とウィルが片目を瞑ってニッと笑う。
前にサルベール講堂の横に大きなクスの木があって、そこに登れば吹き抜けの窓からちょうど教壇の位置が窺える、とのことだったが……。
「お前さん、木登り得意だって言ってたよな? みんな集中してるから誰も気づきやしないさ、だから――」