クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「あんたっ! アンナに妙なこと吹き込むんじゃないよ!」
するとマーヤがいつの間にか現れウィルの背後で仁王立ちになると、ウィルはビクッと肩をひっこめ、バツが悪そうにした。
「おお、怖っ! アンナ、じゃあまた夕方な」
ウィルはこそこそとあくびをしながら逃げるように調理場から出て行った。いつものように城のどこかで昼寝をするつもりらしい。アンナはこのふたりのやり取りがおかしくてクスッと顔を綻ばせた。
「アンナ、ここはいいから休憩しな。疲れただろう?」
「ありがとうございます。じゃあ、ちょっと散歩でもしてきますね」
朝の仕事が終わるのはだいたい十一時くらいだ。それから自由な時間を与えられ、夕食の準備のために十六時には再び調理場へ戻らなければならないが、王都まで足を延ばして出かけるには十分な時間ではある。
しかし、アンナはサルベール講堂の中を一度でいいから見てみたいという気持ちと、そんなことをしてはいけないという葛藤に苛んでいた。講義は週に二度だが、もしかしたら……という好機が目の前でちらついている。
(……やっぱり、そんな覗き見るような真似は駄目よね)
十八にもなる娘が木に登ってだなんてはしたないにも程がある。アンナは自分にそう言い聞かせ、調理場を後にした――。
するとマーヤがいつの間にか現れウィルの背後で仁王立ちになると、ウィルはビクッと肩をひっこめ、バツが悪そうにした。
「おお、怖っ! アンナ、じゃあまた夕方な」
ウィルはこそこそとあくびをしながら逃げるように調理場から出て行った。いつものように城のどこかで昼寝をするつもりらしい。アンナはこのふたりのやり取りがおかしくてクスッと顔を綻ばせた。
「アンナ、ここはいいから休憩しな。疲れただろう?」
「ありがとうございます。じゃあ、ちょっと散歩でもしてきますね」
朝の仕事が終わるのはだいたい十一時くらいだ。それから自由な時間を与えられ、夕食の準備のために十六時には再び調理場へ戻らなければならないが、王都まで足を延ばして出かけるには十分な時間ではある。
しかし、アンナはサルベール講堂の中を一度でいいから見てみたいという気持ちと、そんなことをしてはいけないという葛藤に苛んでいた。講義は週に二度だが、もしかしたら……という好機が目の前でちらついている。
(……やっぱり、そんな覗き見るような真似は駄目よね)
十八にもなる娘が木に登ってだなんてはしたないにも程がある。アンナは自分にそう言い聞かせ、調理場を後にした――。