残念な堀井さん。
「ちょっと、向こう側に座ってください。
ここ、いちを下座。堀井さんはあっち」

私が指差した方に渋々座ると「ちぇー」と今時、小学生でも言わないような文句がその口から溢れた。

仕方ないのでメニューを渡すと、途端に嬉しそうな顔になる。
分かりやすく現金な人だ。

「えっと。二人は付き合って…ます?」

そんな私たちを見て、崎村くんは何を思ったかそんな風に聞いてきた。

だから、ないって。
そう言おうとしたら、はす向かいに座る堀井さんが「そう見える?」と笑顔で返した。
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