短編集
story.12 嗚呼、夢なら醒めてくれ
君 は 、 信 じ る か ?
「よォ、久しぶりだなァ。逢いたかったよォ、とっても。」
突如音も無く現れた妖しく嗤う目の前の男に、勿論見覚えなど無い。
「アノ時の御返しを、しに来てやったぜェ?」
何の事だか、先程から皆目検討がつかない。
「其の顔は未だ状況を把握できていない様だが。そんなの俺には関係ないンだよねェ」
君 は 、 信 じ る か ?
「ほゥら、俺の此の首の傷。 忘れたとは言わせねェぜ?」
男がトントン、と2回。自身の首根っこ辺りを指して謂う。
其処には確かに、鋭利な横引きの古傷がひとつ。だが其れが何だと。
「いやァ、あの時は呆気無く負けちまったけどよォ。今回は、お前が死ぬ番だ。」
―― な あ 。
君 は 信 じ る か ?
こ ん な 夢 物 語 を 。
「さァて、百年前(いつか)の復讐を。」
さァさ。
殺し合いの、はじまりヨ。
**嗚呼、夢なら醒めてくれ。
The die is cast.
(20131119)