短編集
笑顔で小首を傾げるひなたからは、拒否できないオーラが撒き散らされている。
まぁ、ここまでさくらさんに近付くことが出来たのもひなたのお陰だし。
ここまでしてもらっているんだから、あとは俺自身が頑張らないと…。
昼休みの終わりを告げる鐘が鳴り響く。
手をひらひらと振って去っていくひなたの後ろ姿を見送りながら、人知れず奮起した俺だった。
ひなたが言っていた時刻まで、刻々と近付いてきている。
五時半に家の前に迎えに来てくれるように彼氏に頼んだ、と言っていたひなた。
「え~、そうなの?ハルコちゃん」
「は、はい…」
「そうなんだよ~!意外とやる子でしょ?」
姉妹に囲まれて、もはや日常と化している世間話に溶け込む俺。