短編集
プロローグ
──逞しくも現代社会に順応し、日々仕事に追われ、生を全うしているすべての女性に問いたいことがある。
「へえ、桜子の父さんって今53歳なの?」
「まあ。年も年なんで、頭のさみしい普通の中年親父ですよ」
──貴女の結婚願望はどれほどですか?また、それは具体的なイメージとして固まっていますか?
「あれ、桜子はいくつなんだっけ?」
「来月で24になります」
「早いもんだなー。初めて会ったときお前、鼻水たらしたガキんちょだったし」
「っ、な!?鼻水垂らしてなんていませんよ!」
「ハハッ、でも泣いてただろ?まー、なんだ。俺は今年で37になっちまうけど…」
──年上だったら、何歳までの男性を対象として見ることができますか?
「お前の親父さんよりも、お前のほうに年が近いんだから現役だって思ってもいい?」
「……タツ兄さん」
甘めのカクテル。
スナックで看板を背負っているお姉さんが作ってくれたお酒は、もっと女の子らしい子にぴったりなんじゃないかと最初は思っていた。