短編集
小学四年生のときにエミちゃんに誘われて参加し始めた地域のお祭。
年を追うごとに『受験』や『上京』や色々な変化が起こる十代だからこそ、続けて参加し続けることは難しいらしい。
噂には聞いていた事だけれど、私自身が成長していくにつれて痛感せざるを得なかった。
やっとの思いで仲良くなった子や、一緒に居て心地のよかった子。
そして更に、誘ってくれた当人であるエミちゃんですら、大学受験を機に顔を出さなくなってしまって。
「いやー、でもさあ。桜子ちゃんが残ってくれて良かったよ!ホント!」
バシン!と、肩を豪快に叩かれ我に返ると、先ほどのれんをくぐった居酒屋で、人数分のビールが運ばれてきているところだった。
そして、隣を見ると思い出のお姉さん。
あの頃の私をタツ兄さんと引き合わせることになった、ユカリさんが豪胆に笑っている。