短編集
確かに同年代の子たちは大学や仕事場など、新しい環境で夢中になる相手を見付け、大人になっていっていることは事実。
けれど、周りは周り。
実際他人なことに違いはない訳で、私に関して言えば残念ながら運命的な出逢いが未だ訪れていないだけ。…と、信じている。
そういうことに関して経験が無いことを悲観している、なんて事は決してないと断言できる。
だけど、未経験だということを大々的に吹聴して歩きたいと思っているわけでもない。
「いやー、若い!若いっていいね!」
だから私の『未経験』から派生して何やら盛り上がってしまっているこの空気に、心底居た堪れなさを感じていた。