短編集
現在
タツ兄さんは、一言で言えば『イケてる』ほうの人種だと思う。
例えば、クラスで一番目立つスポーツ万能のグループ。
タツ兄さんは間違いなくその一員として過ごしてきたんじゃないかと、予想する。
反して私は、休み時間に仲の良い子と少し話したり、読書したり。
間違っても、短い休み時間に走って校庭に向かい、ドッヂボールをしたりしていた『そういう』グループと関わりを持っていなかった。
クラスの中心的な男の子は、決まって美人と噂されるクラスのマドンナと恋に落ちる。
──もしも私と同じ世代に生まれていたのなら、普通より地味めに生きてきた私に、果たして興味を示しただろうか。
「…子、どうした?桜子」
「あ、すみません」
「いや、いいけど。考え事?」