拝啓、未来へ



「はい、どーぞ」

「ありがとお」



ふーっと長く深い息を吐いた恭ちゃんの様子を横目で確認して、わたしはコーヒーをマグカップに注いだ。


長い時間仕事をしていたわけではないけれど、それでも神経を使ったんだろう。

首を回したり、もう一度伸びをしたり。
疲労が全身から滲み出ていた。



マグカップを手渡すときに熱いからね、の注意は忘れない。
ちゃんと受け取ったのを確認してから、わたしもソファに腰掛けようと恭ちゃんの前を通る。

そうしないと空いている左側に行けないからだ。



「はる、」

「ん?」



そんなわたしを見て恭ちゃんは、両手を広げる。



「おいで。」



上目使いも、両手広げるのも。
恭ちゃんがすると憎らしい程、女のわたしよりとても可愛い。


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