拝啓、未来へ



恐るべし、癖。

一言ぼそりと呟いてからんーっと伸びをした。背中がポキポキと面白いくらいに鳴った。



「(もうひと眠り……)」



そう思って再び布団に潜り込もうとしてベッドに振り向いた時、一瞬血の気が引いた。

心臓がドキリと鳴った。




「は、る」




その名前を口にしたら引いたはずの血液が、今度は優しくて甘い血液となって勢いよく流れ始める。



いや、ちゃう!ここ、はるんちやん!
そうや、はるんちやからコイツがおるんも当たり前やな。

……っていうかちゃうやん!これ俺の時計ちゃうやん!
はるの為に俺が買ったデジタル時計やん!鳴るはずないやん!



こっちを向いてすやすやと深い眠りに入っているはるの顔は、そんな俺を笑っているように見えた。


そんな風に見えるのは、自分の自己満足かもしれない。
目の前のコイツが他の何にも変えられないくらい、好きで好きで、どうしようもなくて。


そんな自分の気持ちを、はるに勝手に押し付けているだけなのかもしれない。


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