拝啓、未来へ
「はる」
――憎たらしくて、いとおしい。
こんな気持ちになるのは、はるが最初で最後だ。
自然と緩む頬を、引き締める術なんて俺は知らない。
眠るはるの頬にすっと指を伸ばす。
触れた肌は、俺には勿体無いくらい柔らかくて温かい。
それだけで胸は大きく震えて、泣けるほど幸せになる。
「んー……」
「、」
一瞬眉間に皺を寄せて唸るから、起こしてしまったかと思った。
だけどそのまま起きることなく、はるはもう一度深い眠りに入って行った。
こんな何でもないような光景が、どうしてこうも色鮮やかに映るんだろう。
そんなことを考えながら無意識のうちに、布団からはみ出しているはるに少しずつ触れてゆく。