拝啓、未来へ
「今日は失敗しなかった?」
「う、」
「したんだ?」
「失敗っていうか――…」
結局断ることはできず、新田くんといつもの分かれ道まで一緒に歩く。
その道のりでは毎回反省会を開くことになっていた。
普段は強引なところもある新田くんだけど、仕事の上では先輩で頼り甲斐があるのだ。
仕事での失敗はフォローしてもらえるし、アドバイスだってくれるので頭が上がらない。
一緒に帰ることを断れない理由のひとつでもある。
仕事の話と他愛のない話をしながら家まであと少し。
新田くんとお別れポイントである分かれ道差し掛かった辺り。
わたしたちの前方に人影が見えた。
外は暗くて、月明かりで何とか人だとわかる程度だけど。
「あ、れ?」
「ん?どうした?」
だけどどんな状況でも分かる。
いつだって、たとえ後ろ姿だって間違わない。そんな絶対的な自信がある。
だって、いつも見てきたから。
「はる」
「恭、ちゃん?」
だいすきなひと。