拝啓、未来へ
「恭ちゃん?」
「………。」
「どうし「帰るで」
どうしたの?何かあった?
――そんな質問もさせてくれないくらい、強くわたしの二の腕を掴んで歩き出す。
一体何なのか、皆目検討もつかなくて。
だけど引っ張られるから足は懸命に動かす。
わたしたちの背後で新田くんが「はるちゃんまたねー!」と近所迷惑じゃないかってほど元気良く叫んでいた。
でもそんなこと気にならないくらいぐっと力を込められた二の腕。
それに共鳴するかのように、心がひどく痛くて悲しい。
「きょ、恭ちゃ、」
「………。」
「ねえっ」
「………。」
何度呼んでも振り向いてくれない。こんなの初めてだ。
そんな恭ちゃんにどうしていいかわからなくて、ぽろりぽろりと涙が出てくる。