拝啓、未来へ



「恭ちゃん?」

「………。」

「どうし「帰るで」



どうしたの?何かあった?
――そんな質問もさせてくれないくらい、強くわたしの二の腕を掴んで歩き出す。


一体何なのか、皆目検討もつかなくて。
だけど引っ張られるから足は懸命に動かす。


わたしたちの背後で新田くんが「はるちゃんまたねー!」と近所迷惑じゃないかってほど元気良く叫んでいた。

でもそんなこと気にならないくらいぐっと力を込められた二の腕。
それに共鳴するかのように、心がひどく痛くて悲しい。



「きょ、恭ちゃ、」

「………。」

「ねえっ」

「………。」



何度呼んでも振り向いてくれない。こんなの初めてだ。

そんな恭ちゃんにどうしていいかわからなくて、ぽろりぽろりと涙が出てくる。


< 28 / 78 >

この作品をシェア

pagetop