拝啓、未来へ
「男と仲良さそうに歩くはるに、男が呼ぶ”はるちゃん”に」
遠くを見つめているような視線の先で、新田くんとわたしの姿を思い出しているのだろうか。
寂しそうに眉尻を垂らす彼は、わたしの知る恭ちゃんではない。
「嫉妬で気が狂いそうやってん」
瞬間、彼のうちに秘めた炎がくゆる。
わたしの知る恭ちゃんではないけれど、きっとこれも恭ちゃんの一部で。
「はるが関わると俺、余裕なくなんねん」
「恭ちゃん……」
「大人気ないわ、ほんま。」
弱々しく呟いたそれに、恥ずかしさも見え隠れする。
目線を下に移して座り込むと、照れくさそうにおでこに手を当て顔を隠した。
初めて見る、恭ちゃん。
「俺、ほんまは子どもやねん」
「恭ちゃんが?」
驚いたわたしに、恭ちゃんは照れくさそうに「うん」と頷く。
「はるの前では格好つけたくて大人のフリしとっただけ」
自分を認めてそう言う彼は、やっぱり大人だと思う。
同じようにしゃがみ込んで目を合わせ笑ってみせると、恭ちゃんもバツが悪そうに笑った。