拝啓、未来へ
恭ちゃんは大人で、わたしは子どもで。
どこか超えられない壁のようなものを感じるときがあったから。
少なからず不安を覚えることもあったから。
だからね。
そう言ってくれて。
「恭ちゃん、ありがとう」
こんなかたちではあったけれど、恭ちゃんの新たな部分が見られて正直嬉しかったんだよ。
痛いのでも、悲しいのでも、どんなことでも。
君のことを知れるなら、どんな些細なことでもいい。
もっと深いところで繋がりたいって思うんだ。
「恭ちゃん、帰ろう」
「……せやな」
温かくて大きな手と冷え性で小さな手がそっと繋がる。
ふたりで帰る道は、いつもより明るかった。
いつか恭ちゃんに、新田くんには4年も付き合ってる彼女がいるよって教えてあげよう。
今はまだ、秘密だけど。
そんな意地悪なわたしは、やっぱりまだまだ子どもだ。