拝啓、未来へ
301、と書かれた角部屋に着くと小さく息を吐いた。
はるに少しでも格好良く見られたくて心を落ち着かせるが、こんなものは結局意味がない。
目の前のドアを、合鍵を使ってかちゃりと開ける。
「(開いた……)」
合鍵なんだから開くのは当たり前だけど、それが妙に嬉しくて。
「ただいま」
少し開けたドアからは、明るい光と微かな笑い声が聞こえてくる。
それがテレビだと認識したとき、ペタペタと素足でこちらに向かってくる足音が聞こえた。