拝啓、未来へ



物思いにふけっていた、そんな時。
わたしの携帯がメールの受信を知らせた。

恭ちゃんがもうすぐ昼休憩になるであろう時間だった。


《はるちゃんごめん☆家に必要な書類忘れちゃった☆良かったら持ってきてくださいませ。》

呆れる、ってこういうことかもしれない。



「…………恭ちゃん。」



わたしが今日たまたま振替休日だったから良かったものの、大事な書類を忘れるなんて果たしてどうなんだろう。


そしてこのツッコミどころ満載な文章。
標準語をかしこまった時に使うのはいいけど、なんだか使い方を間違えている気がする。


語尾の☆マークに”~ませ”?
大体、人にモノを頼む時にはもっと――なんて心の中でぶつくさ文句は言うけれど、さっきまで感じていた孤独さはふわりとどこかへ飛んでゆく。



「ふふ、」



だって、ほら。
あぁ、もう、恭ちゃんらしいな、って。

気づいたら笑ってるんだよ。


だからもういいの。
とりあえず愚痴や文句を言うのは止めにして。

その大事な書類とやらを持っていってあげないと、きっと慌てているはずだ。


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