拝啓、未来へ
「あ、着いちゃった」
近くなったら連絡をしてと言われていたのに、いろんなことを考えていたら会社の玄関に着いてしまったようだ。
腕時計を見ると、もう昼休みの時間のようだった。
メールしようかな。
でも今なら電話しても大丈夫かな。
近くの木陰に入り、恭ちゃんに電話をかけようと番号を呼び出す。
「はる?」
プルルルル――機械越しに音が鳴り始めた時、後ろからわたしの名前を呼ぶ声が聞こえた。
驚いて「えっ」と小さな声を漏らしながら振り返ると、そこには今まさに呼び出そうとしていた恭ちゃんが立っていた。
「きょ、恭ちゃん?」
「やっぱはるやー」
こんにちはーとわたしに向かって呑気に挨拶をする恭ちゃんに動揺していた。
てっきり会社から出てくるものだと思っていたのに。