拝啓、未来へ



洗面所に向かい、歯磨きをして顔を洗って、一応寝癖のついた髪も手ぐしで整えた。

その後また寝室に戻って、パジャマから部屋着に着替える。

この部屋着は、恭ちゃんが昨年わたしのために買ってくれたもので、今でもお気に入り。






「わあ、美味しそう!」

「お、おかえり」



それからリビングをこっそり覗くと、恭ちゃんは本当に朝ご飯を作ってくれていた。

淹れたてのコーヒーの匂いが堪らない。思わず声が出てしまう。


背を向けていた恭ちゃんだったが、わたしに気づいた途端、動いていた手を止めてこちらを振り向く。



「はい、座りなさい」

「うん!」



キラキラと目を輝かせるわたしに、恭ちゃんはまたくすりと笑う。嬉しそうに目尻が下がった。


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