拝啓、未来へ
6枚目
俺がうっかり忘れてしまった書類を大事そうに胸に抱きながら届けてくれた、はる。
内巻きにしたミルクティー色のボブ。
彼女の無垢さを表すような白いワンピースに、少し高いヒールのブーツ。
じゃあねと踵を返したその後ろ姿にがいとおしくて、それと同時に何故か切なささえも押し寄せてくる。
ぎゅうと胸が締めつけられた。
「はる、」
漏れた声は意図したものではない。
どうして呼び止めたのか自分でもよくわからない。
「ん?」
振り返ったはるを見て、一抹の不安がよぎる。
何があったわけでもないのに。
儚く消えてしまいそうだと思った。
跡形もなく、その姿は幻だったのだと。
目を逸らせば俺の前からいなくなってしまうんじゃないか。
出来るなら、このまま一緒に家に帰ってしまいたい。
だけど俺は大人で、社会人。
そんなこと、到底出来やしない。