拝啓、未来へ
”着信:高石はる”
取り出すとそんな文字がディスプレイに並んでいた。
その文字列を見ただけで頬が緩む。
先程までの苛立ちも明後日に飛ばしてしまう。
そんな俺は、どれだけ君に惚れているのだろうか。
「もしもし?」
『――…し、も…』
「あれ?もしもーし」
『……うちゃ、聞こえ――…』
「あ?なんでこんな電波わる、……あ。」
今はエレベーターの中であるが故に電波の入りが悪い、なんてことにもなかなか気付かない程惚れているのは、どうやら間違いないらしい。
「……あほか。」
『え?もし――……―うちゃん?』
自分の間抜けさに苦笑を溢したらちょうど目的の階に着いた。
すぐにエレベーターから降りたので、電話は繋がったままでいられた。