拝啓、未来へ



『……今日、早く帰ってこれる?』



なんとも不安げな声を漏らす。
それすらも可愛いお願いだと思ってしまう俺は、もう末期かもしれない。



「……はる、さっき俺の帰り待ってるって言うてたやん」

『………。』

「そんなはるのために早く帰るわ」

『………うん』

「……いや、自分の為やな」

『え?』



何がそんなに不安なの?わからないけれど。
不安を拭ってあげたくて、俺も少し素直になろうって思える。



「俺が、はるに早く会いたい。」

『っ』



――…君に会いたくて、どうしようもない。



「頑張ってはよ仕事終わらすから」

『うん』

「大人しく家で待ってなさい」

『うん』



もっと。もっと。
もっと、素直になってみてもいいかな。



「はる」

『うん』



今、どうしても伝えたくて。
今、伝えないと後悔する気がして。

君は、笑わないでくれるだろうか。


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