拝啓、未来へ



「恭ちゃん、」



ディスプレイに表示された、”通話終了”の機械文字をぼうっと眺めながら思いを馳せる。

あなたは優しすぎるから。
わたし、あなたの重荷になっていないかなあ?



「きょお、ちゃん」



本当は面倒な女だって思ってない?
子どもっぽくてワガママで嫌だなって思ってない?


マイナスな思考が頭をぐるぐる駆け巡る。
渦巻く鬱々とした気持ちを振り払うように、ブンブンと頭を振った。



「お出かけ、しよう」



そうだ。
せっかくだから外に出て、少し気分転換をしよう。

どこかで適当に時間を潰して、そのあと夕飯の材料を買いに行くのもよさそうだ。


今夜は恭ちゃんの好きなハンバーグにしようか。
早めに準備して仕込んでおくのも悪くない。

合間に掃除もして、恭ちゃんに「おかえりなさい」って言うの。


喜んでくれるかな。
「ありがとお」って笑ってくれるかな。



とりあえず、材料を買うまでの少しの時間をどこかで――


< 64 / 78 >

この作品をシェア

pagetop