拝啓、未来へ
カラン、コロン。
ドアを開けると同時に心地良い鈴の音が鳴った。
「いらっしゃいま――…あれ?はるちゃん?」
「こんにちは」
「今日バイト入ってなかった……よね?」
「……はい」
カウンターでコップを磨いていたマスターは目を見開く。
適当に時間を潰すと言っても特に思い当たらず、結局バイト先のカフェに足を運んだ。
「まあ、ゆっくりしていきなよ」
「ありがとう、ございます」
何かを感じ取ったのか。
わたしを出迎えてくれたマスターは優しく笑って、カウンター席に座らせてくれた。
席に座るとマスターはコーヒー豆を挽き始めた。
コーヒーのいい香りが店内に充満する。目を閉じて頬杖をつく。
この匂い、すごく落ち着くな。
「すみませーん」
「はい、ただいま」
目を開けると、マスターが慌ただしくお客さんの元へ注文を取りに行くのが見えた。
そこでわたしは周りを見渡す。