拝啓、未来へ
「…………奈々。」
奈々、と呼ばれた彼女はきっと、新田くんがいつか言っていた4年も付き合っているという彼女なんだろう。
「……智樹。どうして連絡、くれないの?」
「………。」
「ねえ、智樹……っ」
「………。」
そんな彼女だろう、奈々さんは。
道端の街頭に照らされているその様がひどく幻想的で、伸びる影は憂いを帯びたようにゆらゆらと揺れていた。
「……何か言って、よっ」
「………。」
「ねえ……っ」
わたし、お邪魔だよね。
完全に第三者であるその雰囲気に居た堪れないわたしは、新田くんと奈々さんを2人きりにしようと一歩、また一歩と静かに後ろに下がる。
と、ふいに奈々さんの視線がこちらに向いた。
彼女の大きな瞳と合って、ドキリと心臓が鳴った。