拝啓、未来へ
「もしかして……、」
「………奈々。」
「智樹……?」
「………。」
奈々さんの視線に射抜かれてそれ以上動けなくなったわたしは、この場で立ち竦むことしかできなかった。
「この子、……?」
「………奈々、」
何の話かわからないわたしは、2人より少し下がったところで会話と様子をぼうっと眺めているだけ。
「この子、なの……?」
「……違う、」
「嘘でしょう?ねえ智樹、」
「奈々、」
「ねえ……っ」
そう言った奈々さんは、わたしに向かって数歩歩いて来た。
かと思うとぐっとわたしの肩を掴む。
わたしはそれに思わずびくりと反応した。
掴む力はとても強くて、この細く綺麗な指の、どこにそんな力があるのかと思うくらいだったから。