拝啓、未来へ
「ねえ、あなたなの……?」
「……え、」
「、奈々やめろ」
奈々さんに問いかけられる。
一層わからなくなる話にただ声を漏らすしかない、わたし。
それを制する新田くん。
「あなたが、智樹の、」
「………え?」
「奈々!」
あ、でもわかること、ある。
新田くんはいつもと雰囲気も言葉遣いも違うこと。
奈々さんは目の前で、瞳をゆらゆら悲しげに揺らすこと。
わたしはそんな2人をいつまでも客観的に捉えていること、とか。
「好きな人、なの?」
奈々さんのその一言が、暗い街の路地に響いた。
「奈々、聞け」
「この子が好きだからわたしのこと無視してたの?」
「違う」
「違うって?なに?そうなんでしょ?」
「違う」
「”違う”じゃなくて別の言葉でちゃんと言ってよ……!」
2人が何か言っているのに、聞いたほうがいいと思うのに。
わたしの耳にはその会話があまり入ってこなくて。