拝啓、未来へ
「あ、と、とも……」
「それに気付き始めた頃から俺は奈々のことがわからなくなった」
「とも、き」
「1年前から俺たちは終わってんだ」
迷いなく、曇りなく。
微かに震える奈々さんに容赦なく突き立てる現実。
二人のなかにあった絆の糸は、いつからか綻び始めてしまった。修整はもう、不可能なほどに。
「別れよう。」
新田くんの凛とした声が、暗い夜空に溶けてゆく。
それからわたしは、新田くんに手を引かれその場を後にした。
繋がれた指先は冷たく泣いているような気がして、振り解くことなんてできなかった。
ただ、ちらりと振り向いた先には奈々さんの寂しそうな後ろ姿があった。