拝啓、未来へ
「はるちゃん」
しばらく引っ張られるように歩いていて、その速度が少し落ちたと思ったら、新田くんの声がぽつりと頭上に落ちてきた。
立ち止まったそこはいつも新田くんと別れる道で、もうここまで歩いてきたんだと不思議な気分だった。
「みっともない姿見せてごめん」
見上げた先の新田くんは俯いていて、表情を窺い知ることはできなかった。
「俺、アイツのこと、」
「………うん」
「ちゃんと好き、だったのに……」
けれどそこから漏れる震える声が、ひどく切なくてわたしは少し苦しくなる。
こういうとき、わたしはなんと声をかけるのが正解なのだろう。
経験の浅い子どもでは到底わからない。
「……でもアイツの言ってたことも間違いじゃないんだ。」
「え?」
曖昧に相槌を打つことしかできないわたしに、新田くんはそう呟くとわたしを見た。
驚くわたしと目が合うと、いつもみたいにゆるりと笑って見せる。
「はるちゃんと出会って、」
そうして、告げる。
「俺、はるちゃんが好きになっちゃった。」