拝啓、未来へ
それからは特に会話もせずに黙々とご飯を食べた。
ふたりを包む沈黙は不思議と悪くなく、むしろ温かくて心地良い。
ご馳走さまの挨拶も程々に食器を片づけて洗い始める。
片づけはわたしが担当した。
食器を洗っているときに、恭ちゃんは仕事用の鞄から自前のノートパソコンを取り出す。
「ごめん。ちょお仕事する」
「ん、いいよ」
秘密やで?と恭ちゃんは悪戯に笑って、仕事をするとき専用の眼鏡をかけた。
それが妙に雰囲気があって、恥ずかしくなったわたしは顔を逸らす。
カタカタと静かなリビングに鳴り響くキーボードの音はBGM。
規則正しいその音を聞きながら食器を洗うことに専念したわたしは、洗い終わって暇になったからコーヒーを入れた。