拝啓、未来へ
一区切りついたのか、恭ちゃんはノートパソコンをぱたんと閉じ眼鏡を外した。
目頭あたりを親指と人差指で押さえるその仕草は大人っぽくてずるい。
そんな恭ちゃんをじっと見つめていると、ふいに目が合った。
手に持っていたマグカップがドキリとかすかに揺れる。
そんなわたしに気付いてか、にこりと笑ってんーっと伸びをする。とても気持ちよさそう。
「お疲れさま」
「ん、」
「コーヒーまだいる?」
「そー……やなあ。少し、」
「じゃあ入れるね」
おかわりが欲しいといった恭ちゃんのマグカップを取って席を立ち、台所に置いてあるコーヒーメーカーに向かう。
その間に、恭ちゃんは2人掛けのちいさなソファに座った。
いつもの定位置、右側に。