裏通りランコントル



住宅と住宅の境界。
その一軒一軒を囲んだブロック塀にはアイビーやキヅタが深く、長く絡まり合っていた。

そこを抜けた裏手のことは誰にも知られたくない、見つけられたくないと、まるで意思を持っているかのようだった。


きっと誰も気に留めない。
通りたくなくなるような視界の悪さに暗さ。
寂しさや侘しささえも感じるそこ。


わたしだって裏通り3番地を探していなかったら――

そう思うと自身の足は勝手に動いていた。
正解はそこにある気がした。


身体を横にして、細く暗い小道を進む。
雪とアイビー、キヅタのせいで視界がひどく悪い。

それでも進んだ。
行った先の答えを知りたかったから。




しばらく進んだそのとき、吹く風が急に変わったのを感じた。

滑らないように足元を見ながらゆっくりと歩いていたわたしが顔をあげたとき、まるでライトを当てられたような眩しさが襲う。

広がる銀世界のまばゆさに目が眩むくらい、わたしは暗いところにいたようだ。


見ると、どうやら小道をあと一歩で抜け出せるらしい。ブロック塀の終わりが横目で確認できた。

そこで躊躇なく右足を前に出すと、なんとなく久しいような懐かしいような不思議な感覚に包まれた。


慣れてきた目に映るのは――裏通り3番地であろうそこ。
古民家風のお屋敷に、大きな門。


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