裏通りランコントル
どう、って。
……わたしは、どうしたんだろう。
オリを引き留めて一体何がしたかったのか。自分でもよくわからない。
マグカップの乗ったトレーを持ったまま困ったように眉を下げるオリは、ふと何かに気づいたように客間の入り口を見た。
その様子に気づいたわたしも、同じように入り口を見る。
「俺がいない間にまた仲良くなりやがって」
腕組みをし、入り口のドアにもたれかかっていたのはエン。
じとっとした切れ長の瞳がわたしたちを見ていた。
電話はもう終わったのだろうか?
ぽけっとその姿を見ていると次の瞬間にはずかずかとこちらに歩いて迫ってくるもんだから、オリのスーツを掴んでいた手を思わずパッと離した。
「かまってほしいなら俺がかまってやろう」
わたしの目の前まで来たかと思えばずいっと顔を近づけてくる。
その顔にはニンマリとした笑みが浮かんでいた。