彼女は学校に行
いつもより味が濃く感じたのはきっと冷めてたからで、決して瞳から零れたものが紅茶と共に口に入ったからではない。
それから橋倉は部屋にあった漫画を読み耽ってから、夕飯前に帰ると立ち上がった。
橋倉を玄関まで送るようになってから、いつもポケットに入れっぱなしのスマホの歩数計が30歩分増えた。
「じゃ、明日も来るわ」
「進研ゼミやるから忙しいわ」
「いやもう平田じゃ間に合わねえだろ」
「ちょっと入れって言ったの誰」
スニーカーを履いた橋倉がドアノブに手を掛けたとき、私は「橋倉」と呼び留めていた。
振り向いた橋倉はいつもの橋倉で、いや、いつもの外面専用の顔付きになっていて、それを、自分でも気がついていないようだった。