彼女は学校に行
「なんで平田は自分の居場所を『こんなとこ』なんて言うの」
「・・・そのままの意味だよ。こんなところだから。橋倉は放課後ここに来るより、楽しいとこがあるんじゃないの」
別に卑下しているわけじゃない、と自分に言い聞かせて、それから少しだけ嘘が滲んだことで眉に力がこもる。
橋倉はベッドに後頭部を預ける。
ぼふ、と柔らかい布が橋倉の頭部を迎えいれる。
天井と向き合う形になった橋倉の前髪が、さらりと、横に流れる。
天井に点いた灯りをすべて吸収してしまいそうなほど、橋倉の黒目に光が詰め込まれている。
「楽しいだけが世の中じゃないし、むしろ俺は平田を窮屈から逃げるための良い口実にしてる節がある」
「窮屈?」
復唱は拾われなかった。
橋倉は首を動かし、私に顔を向ける。