彼女は学校に行
みんなにできることが自分にできないということは、狭い箱のなかに押し込まれた生物にとってはとても生きにくい空間だ。
私はゆっくりと身体を起こし、のそのそとベッドを降りる。
そのまま橋倉の隣に並び、トレーに乗ったままの紅茶に手を伸ばす。
橋倉は後頭部を布団の上に預けたまま、黒目だけで私を追いかける。
私はとてつもなく臆病者で、どれぐらいかというと、義務教育期間であった小、中学時代の給食は、同じグループの似た背丈の女の子と、完食するタイミングを必ず合わせるほどだ。
人から弾かれることを恐るに恐れて、そのうち自分自身の呼吸の仕方を忘れて、気がつけば物理的にひとりになっていた。
そんな臆病な私が、こうして、相手の顔色をうかがうこともなく、シフォンケーキを食べている。
橋倉は、私に私という期待をしていないからだ。