いつかまた、月の綺麗な夜に
高校生活最後の年にくじ引きで当ててしまった、なりたくもなかった図書委員。
やりたくもない図書当番という苦行に放課後を費やし作業にも慣れてきた頃、友坂くんと話すようになった。
毎日毎日図書室に通う人間は彼しかいなくて、挨拶から始まり、とりとめもないお喋りになるのにそう時間はかからなかった。
今ではもう、友坂くんとは、他の人がいなくて誰にも迷惑をかからないときに長く話をする。
彼はいつも勉強の邪魔だとめんどくさそうそうに、テキストを開く様子もなく、わたしの声に耳をかたむける。
めんどくさそうだったけど、嫌じゃないとは言っていた。