サイドキック







『お前の目的は何だ』

『おま、その超悪役みてーな台詞…!』

『………、…』



私の言葉の何処にそんなポイントが含まれていたのか。

衣服を纏わず晒された腹筋を抱えるようにして笑い出すヒロヤを死んだ魚のような眼で見詰めた。







その男の肌を伝ってポタポタと滴り落ちる雫をじっと視界に映すこと数秒。

ゆっくりと上げた視線で捉えた先にあるのは、文句無く割れた腹筋。

隠しきれない羨ましさにぎゅっと眉根を寄せていれば、「なんで睨むんだよ!」とヒロヤは愕然としていた。



別に関係無いけれど。



『――――無意味なことはしたくない。それだけだ』

『出たよ、お前の人生悟り切った感じのセリフ』

『なんか文句でもあんのか』

『あるね、大アリだね』








近付く距離にこの頃の私は少しも動じなかった。

だって、自分のするべきことを理解していたから。



仲間に頼られる存在で居なければならない。

相手が誰であっても弱味なんて晒したらいけない。











『今夜こそテメェのカラダ拝んでやる!!』








実を言うとヒロヤ相手に何度も挑まれたこの闘いに、この日も私は全力で応戦していた。









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