サイドキック







―――――――――――…



滴り積もりて淵となる。或いは、塵も積もれば山となる。

未熟ながらも責任感ばかり強い私は、他人に頼るという選択肢を考えることも無かった。

それ故に自らの人格形成までもを支配しようとした。



頼られるに値する器で無くてはならない。

簡単に笑みを零したら舐められる。

容易くキレたら駄目、涙を流すなんて以ての外。







『最近いーい感じじゃね?』

『るっせ、黙っとけクソったれ』

『…!あー俺Mじゃないけど嬉しいんだわー、どーしよ。そのムッとした感じもっか――』

『ラリアットかましてみるか?ヒロヤ』

『イイエ……!』











あの頃の私を支えてくれたのは間違いなくヒロヤだった。

奴が居なかったら、あのまま私は。

感情の無いロボットに成り果てて、きっと元の自分への戻り方すら見失っていた。

"戻る"という概念すら持ち合わせることが無かったかもしれない。









本当に感謝していたし、あの頃があったからこそこの信頼が生まれた。

それは間違い無いし訂正の余地は無い。




だけれど――――、









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