サイドキック
act.3
教授が講義の終了を告げるのと同時に喧騒に呑まれる室内。
友人の声に耳を貸しながらもスマホのロックを解除していれば、不在着信が一件表示されていて。
「(……、誰だろう)」
「香ー弥ー?」
「ああうん、はいはい」
「全く聞いてないよね」
ぶすっと膨れっ面を晒す彼女に苦笑を零しながらも、着信元を確認するべく画面をタップして切り替えた。
―――――その名前を目にした瞬間。
「、ごめん…!ちょっと掛け直してくる」
「なーにい?彼氏出来たの?」
「違うっての!間に合うように戻ってくるから」
にやりと口角を上げて茶化す彼女に眉根を寄せて反論すると、スマホだけを手に講義室を飛び出す。
信じられない。
ばくばくと鼓動する心臓が、私たちの間にどれだけの時間の壁が存在していたかを物語っていて。
なんでこのタイミング?
久し振り過ぎて"ちゃんと"話せるかどうか―――、