サイドキック
act.17
「稜、じゃ俺仕事行ってくるけど……」
「あ!はい」
「ユウキのこと、頼むな」
昴さんと稜さんの話す声音が耳に届くものの、私は何の反応も出来ずに居た。
ヒロヤがあの場に残ってから既に3日。
スマホは電源が切れているらしく繋がらないし、どうにもこうにも連絡の取りようが無い。
「―――ユウキさん…、」
昴さんを見送ってきたらしい稜さんがリビングに姿を現す。
今年で19歳、短大に入学したらしい彼女。
それこそ昔からの付き合いではあったものの、あの頃は深く追求することもなくて。稜さんが私よりも三つ年下だと知ったのは、ここにお邪魔してからだ。
「ごめんなさい、長々と居座ってしまって……」
「そ、そんなこと言わないでください!当たり前じゃないですか、困ったときはお互い様でしょう?」
「………、稜さん」
何年かの歳月を隔てて再会した彼女は尚も美しく、そして可憐だった。
あの頃にも通じるものはあったものの、歳の割に酷く大人びた風貌は相変わらずで。
まさか年下だとは思いもしなかったから、初めて聞いたときはそれこそ目が飛び出るかと思ったほどに。