サイドキック
―――――――――――…
『お前ら、"黒龍"だな?』
『……! なんだテメェ、どっから入ってきた!!』
慌てたように振り返りそう言葉を落とした男の首に腕を伸ばし、思い切り締め上げる。
『ガッ……うぅ、』
『ウチの名語って色々してくれてるらしいじゃねぇか』
『おま、まさか…! "聖龍"のっ、』
『今日は礼しにきたんだよ。総長サン出してもらおうか』
『誰が言うか―――』
『あっそ、残念だな』
黒々と光らせた瞳が残虐な光に呑まれる。
目の前で思い切り眼を見開いた男は、次の瞬間には白目をむいてピクリとも動かなくなっていた。
ゆっくりと開いた私の拳には赤黒く独特の臭いを帯びた、血が付着していた。
抑えがきかない。直ぐにそう思った。
意味もなく狂気染みた笑みを浮かべたくなる。
こんな気持ちはあのとき以来だ。
家を飛び出して、行くあても無く喧嘩に明け暮れ、一匹オオカミに成り果てた――――
あのとき、以来だ。