サイドキック






向かってくる相手を打ち負かしてやる度に快感に似た感情が胸を支配していった。

すっかり欲に呑まれた私は愉しいと言わんばかりに口角を上げながら、ほぼ無心で拳を振り上げる。


振り下ろす度に赤い血がベットリと服に飛び散った。

私が歩を進めてきた後ろには、最早動くことも儘ならない血みどろの人間が数多く地に伏していた。






『次はお前だ。最後ってことはテメェが総長か?』

『な、んだよお前は…! "聖龍"がこんな卑劣なマネするなんて――』

『買い被りすぎだ』



御託は御免だ、と言わんばかりに拳をかざした私は勢いもそのままに相手の顔面に向かわせる。

瞬時に繰り出したそれを避けることは無理だったらしく、思い切りヒットした鼻からは血が吹き出していた。











『マネしか能がない連中にンなこと言われる筋合い、ねぇよ』







更に瞳の奥を光らせた私が向かっていく度に、相手からは呻き声のようなものが洩れ出した。













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