サイドキック
―――――――――――…
『もうそこらにしとけ、死んじまう』
『………』
『―――ユウキッ!!』
どのくらいの時間が経過したのかも分からない。
そんな中で私はただ、ひたすらに。
組み敷いた男を感情のままに殴っていた所為で、相手の顔は最早原形を留めないほどに崩壊していた。
『ヒロヤ………』
呆然と脱色されたブリーチの髪を揺らす男を、見上げた。
あのまま倉庫を飛び出した私は、言わずもがなこの場所に一番最初に辿りついていて。
そんな私を慌てて追って来てくれたらしい"聖龍"のメンバーは皆、心配そうな表情を浮かべて此方に視線を落としていた。
酷い、なんて言葉では処理しきれないくらいの惨状。
辺り一帯を血塗れにした犯人は、この私。
『――……、悪い』
元の肌色がポツポツ、と。
少しずつしか露出していない手のひらを自らの額に押し当てた私は、か細く死んでしまいそうな声でそう呟いた。
『……戻るぞ、ユウキ』
『………』
『サツがそこらまで来てんだ。面倒なことになるだろ』
『――――ああ…、』